東京の中古マンション価格が高止まりしている 2026 年、築 40 年前後の物件をリノベーションする選択は現実的になっている。国土交通省の住宅統計調査によれば、首都圏マンションの平均築年数は年々伸び、築 40 年超が全体の約 15% を占める。問題は、築古物件には新築にはない「見えない劣化」があり、内装だけ綺麗にしても数年で再工事が必要になる点。
築 40 年の典型的 3 問題
内見で判断しにくく、でも確実に効いてくるのが以下 3 点。
1 つ目は断熱不足。1980 年代前半までに建てられたマンションの多くは、外壁の断熱材が薄く、窓もアルミサッシ単板ガラス。冬は暖房が効かず、夏は冷房が逃げる。住まいの満足度に直結する。
2 つ目は給排水管の老朽化。共用部の本管は管理組合が管理するが、専有部内の配管は住人負担。築 40 年だと、水漏れリスクが目に見えて上がる時期に入る。キッチンや洗面所の改装と同時に配管更新するのが合理的。
3 つ目は電気容量。30A 契約のまま IH コンロ、電子レンジ、食洗機、エアコン複数台を使うと頻繁にブレーカーが落ちる。60A 化や分電盤増設が必要になることが多い。
予算 500 万円の配分
2024 年に 70 平米・築 38 年の物件を 480 万円でリノベした知人の配分が参考になる。内訳は、断熱工事(内断熱 + 複層ガラス)150 万円、給排水管更新 90 万円、電気容量増 50 万円、キッチン入替 80 万円、床・壁仕上げ 80 万円、仮住まい・諸経費 30 万円。見えない部分の断熱・給排水・電気で計 290 万円と、全体の 6 割を占める。
残り 40% で内装を整えるため、キッチンや床材は予算制約のあるグレードになるが、その見返りに「冬に寒くない」「水漏れ懸念がない」「ブレーカーが落ちない」という日常の摩擦が消える。5 年後、10 年後の満足度は見えない部分に投資した層のほうが高い傾向がある。
管理組合の壁
見落とされがちなのが、管理組合の規約で触れない部分がある物件が少なくないこと。間取り変更のための耐力壁の撤去禁止、窓の交換禁止(外観統一のため)、床材の遮音等級指定など、物件ごとに制約が違う。
購入前に重要事項説明書と管理規約を確認し、できれば管理会社に直接質問して書面で回答をもらうのが安全。リノベ業者も管理規約を見て見積もりするので、契約前に共有する。
工務店選びと契約形態
工務店は必ず 3 社以上から見積もりを取る。同じ仕様で 200 万円以上の差が出ることも珍しくない。ワンストップ型のリノベ業者(リノベる、ひかリノベなど)は物件探しから設計・施工まで通しで面倒見てくれるが、中間マージンが乗る。直接工務店と契約すると安くなるが、設計は自分か設計事務所に依頼が必要。
工事期間は 2–3 ヶ月。仮住まい費用 30〜50 万円を予算に入れておかないと後で慌てる。賃貸でのスマートホーム化の延長として、リノベのタイミングで Matter 対応機器や LAN 配線を仕込むと、後付けより安価で完成度が高い。