Qi2 は Wireless Power Consortium が 2023 年に策定した新しい規格で、MagSafe の磁気整列機構(MPP — Magnetic Power Profile)を取り込んで標準化した。iPhone 12 以降に対応していて、2024 年以降発売のワイヤレス充電アクセサリの多くが Qi2 認証を取っている。Anker、Belkin、mophie、CIO、UGREEN などが主要メーカー。
実測:15W はあくまで理論値
Anker 737 MagGo(24,000mAh)を iPhone 15 Pro に装着して 3 ヶ月測った平均値は、室温 22°C で 0 → 50% まで約 35 分、50% → 100% まで約 50 分。合計 85 分前後で 1 回のフル充電が完了する。iPhone 公式サイトの記載(MagSafe 15W で約 1 時間半)とほぼ一致する。
ただし、これはベストケース。室温 28°C を超えると iPhone 側の保護機構が働き、実効速度は 10W 相当まで落ちる。真夏にベッドで寝ながら使うような条件では、有線(USB-C PD)のほうが明らかに速い。
Pros / Cons(3 ヶ月の実使用から)
良い点
- 磁気整列がピタッと決まる、設置位置を気にしなくて良い
- 発熱が同出力の Qi(第 1 世代)機器より明らかに少ない
- iPhone 15 Pro で 2.4 回分のフル充電が現実的に可能
- スタンド形状で充電中も動画視聴や FaceTime ができる
気になる点
- フル充電が有線より時間がかかる(約 1.8 倍)
- 本体が約 440g、ポケットには入らない重量
- 価格が ¥20,000 前後で初期投資が重い
- 真夏はサーマルスロットリングで速度が落ちる
バッテリー残量は 0.1% 単位で表示される。
数値表示は実測の信頼性に直結する。Anker 737 MagGo は本体側面に OLED ディスプレイがあり、残量、充電中の出力(W)、予想残時間が確認できる。これは MagSafe 純正や Belkin にはない特徴で、充電状況を把握したい層には地味に効く。
国内主要 5 機種の立ち位置
2026 年 4 月時点で現実的に購入できる Qi2 対応モバイルバッテリーは、Anker 737 MagGo、Belkin BoostCharge Pro 10K、CIO SMARTCOBY DUAL-Qi2、UGREEN MagFlow、mophie Juice Pack Max の 5 機種が中心。価格帯は ¥8,000〜¥22,000。容量と携帯性のバランスで選ぶと、10,000mAh 前後の中間帯(Belkin、CIO)が最も選びやすい。Anker 737 は容量重視、mophie はスリム重視。
向く人・向かない人
向くのは、iPhone を 1 日 2 回以上フル充電する撮影者・営業・出張族。磁力で設置を固定できるので、移動中に位置がずれない。ケースが Qi2 対応なら着けたまま充電できる。
向かないのは、1 日 1 回の充電で足りる一般ユーザーで、寝ている間に有線で充電する習慣のある人。この層は ¥20,000 をワイヤレスに投じるより、良質な USB-C PD 充電器と Anker 563 のような据え置き有線の組み合わせのほうが満足度が高い。賃貸スマートホーム化の記事でも触れたが、道具の選定は生活パターンと一致してこそ意味がある。